「さよならもいわずに」上野顕太郎/今日を大切にしようと心から思える作品

突然最愛の奥さんを亡くしてしまったたマンガ家の悲しみを描いた実話。

さよならもいわずに (ビームコミックス)上野 顕太郎 エンターブレイン 2010-07-24
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本屋で表紙を見たときから、たぶんいい作品だと思ってたのだけど、きっとつらそうだから読むのを少しさけていた。

でも「このマンガがすごい」に載っていてやっぱり読みたくなり、買った。勘は当たっていた。いや、予想以上にすばらしい作品だった。読んだあと胸がいっぱいになってしまい余韻がしばらく残っていた。

だんなが帰ってきたときに「ん?どうした?」って言ったくらい、なんだか本当に胸にきていた。今のだんなとの生活を本当に大切にしようと心から思った。「ただいま」「おかえり」が言える幸せを忘れちゃいけないと。

途中何度も泣いてしまった。胸にせまってくるシーンがいくつもあった。たぶんこの作品はこれから何度も何度も読み返すことになるだろう。そして読むたびに、日々の幸せを確認していくような気がする。

こういう作品に出会ったときに本当によかったな、と思う。ぐっときたシーンはたくさんある。(以下ネタバレあり)

まず生きていたキホさんをだんなさんが最後に見たシーンのアップの顔。これがなんとも言えない表情。

キホさんがだんなさんに「いいシリしてまんなあ」とか言って2人であそぶところ。なんだか本当に切ない。

お通夜に友達が「キホちゃん寒いといけないから」と青いショールを持ってきてくれて、だんなさんの張り詰めていた糸が切れてしまうところ。ここはつらかった。

喪中はがき。「奥さんのいる人は大切にしてあげてください。」という
のがとても切なかった。天国で大好きなカニを食べている奥さんの絵がとてもよかった。

そして、一番印象的だったのが、キホさんのいろんな「おかえり」を集めたシーン。

料理しながらだったり、布団に入りながらだったり、ゲームしながらだったり。。の「おかえり」。。とてもリアルだった。涙が出た。

だんなはもし私がいなくなったらこんな風にいろんな「おかえり」を思い出すんだろうか?私はだんなの「ぅいー(ただいま)」を思い出すのだろうか?そんなことを思うとまた涙が出てきてしまった。

とにかく本当にいい作品だった。作者の方は書くのがつらかったと思う。でも書いてくれてありがとう、と心から言いたい。

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